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zoom RSS 国民投票CM「資金力の差で不公平に」 法改正求める声 〔朝日新聞デジタル〕

<<   作成日時 : 2017/05/31 18:47   >>

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国民投票CM「資金力の差で不公平に」 法改正求める声
石川智也2017年5月31日08時00分
http://digital.asahi.com/articles/ASK5Y6K4MK5YTIPE03W.html?rm=1187



 改憲の手続きを定めた国民投票法に不備があるとして、改正を求める声が上がっている。焦点の一つが賛否を呼びかけるテレビCMだ。投票15日前まで無制限に流せるため、不公平を呼び理性的な議論の妨げになるとの指摘がある。

 「来年にも改正案の発議があるかもしれない。改憲・護憲の立場を問わず誰にとっても公平なルール作りを急がねばならない」

 30日、東京・永田町であった「国民投票のルール設定を考える円卓会議」の集会。10カ国以上で国民投票を取材してきたジャーナリストの今井一さんらが企画し、独自の国民投票法改正案を検討してきた。

 国民投票法によれば、投票は改憲案の発議後60〜180日以内に実施されるが、投票の14日前からは賛否を呼びかけるCM放送は禁じられる。新聞や雑誌、ネット広告への規制は一切ないが、特にテレビは映像と音声で強い印象を与えるため、国民に「冷却期間」が必要との考えから設けられた規定だ。ただ、それ以前は誰でも自由にCMを流せる。公職選挙法と違って費用の制限もない。

 CM広告料はゴールデンタイムなら1本数百万円とされる。集会では、資金力の差で著しい不公平が生じ、扇情的なCMやネガティブキャンペーンもあふれかねないとの懸念が相次いだ。

 南部義典・元慶大大学院講師(国民投票法制)は、現行法では投票日前14日間も、賛否を呼びかける内容以外のCMは流せると指摘。「私は改憲に賛成」などと意見表明するだけなら規制対象にならないという。「本質と関係ないイメージ戦略や資金力が結果を左右する。公正な国民投票のためには『ゼロの平等』が必要」とCM全面禁止を主張する。

 作家で元博報堂社員の本間龍さんによると、テレビには各広告会社が優先的に確保できる放送枠があるという。「仮に同じ資金があっても、一方は視聴率の低い時間帯しか取れない不公平が起こり得る」。やはり全面禁止が必要と言う。

 一方、田島泰彦・上智大教授(憲法)は、表現の自由の観点から法規制による全面禁止には批判的だ。ただ、団体ごとに資金の上限を設けるなど「公平なルールは必要」という。

 2015年にあった大阪都構想の住民投票でも、CMが議論になった。賛否両陣営が計数億円の広報費を投じ、イメージ先行型のCMを連日放映。「消耗戦だ」と批判が上がった。

 国会図書館の調べでは、国民投票制度のあるフランスや英国、スイスで有料CMは全面禁止。他方でオーストラリアは原則自由だ。

 通信販売を手がけるカタログハウスは、今月発行したカタログ誌「通販生活」で「憲法改正国民投票での有料テレビCMは『全面禁止』にすべきです」との特集を組んだ。企画した平野裕二・読み物編集長は「15秒や30秒の映像では理性的な訴えはほとんど不可能。このままでは国民の判断をゆがめた形で投票日を迎えかねないという危機感があった」と語る。

ログイン前の続き■民放連、自主ルール進まず

 一方、法成立前の国会審議では日本民間放送連盟(民放連)の委員が参考人聴取で、「自主的判断に任せてほしい」とメディア規制に反対を表明。不公平を避ける仕組みは「これから真摯(しんし)に検討する」と訴えた。だが、改憲派・護憲派を問わず規制に理解を示す声が上がり、与野党の法案はともに一定期間のCM禁止規定を盛り込んだ。

 民放連は法成立の日、改めて「放送事業者の自主・自律による取り組みに委ねられるべきだ」との会長名の抗議声明を出した。

 それから10年。公平性を確保する民放連の自主ルール作りは進んでいない。番組・著作権部は「これまで内部で議論したことはない。各局で公平さの概念を統一するのは難しい」としている。衆参両院の憲法審査会でも、CM問題は一度も検討の対象になっていない。

 「円卓会議」は近く法改正案をまとめ、衆参両院の議長などに送る。

 昨年、欧州連合(EU)離脱を問う国民投票があった英国では、選挙委員会が賛否両派の代表を1団体ずつ指定し支出の上限を設定。無料の放送枠を公平に割り当てた。全面禁止が難しければ、同様の方法も可能だと提案する。民放連にもCM総量や料金、放映時間帯が公平になるルール作りを求める。

 今井さんは「放送局があくまで規制に反対するのなら、公共性を自覚し、今からでも急いで自主ルールを作るべきだ」と話す。(石川智也)

■現行の国民投票法のメディア関連条項

 ・改憲案への賛成反対を呼びかけるCM放送は投票日14日前から禁止

 ・政党は意見CMを無料で放送でき、14日前禁止規定の対象外。放送事業者は政党CMをそのまま放送し、その枠は賛否平等に割り当てる

 ・政党は意見広告を新聞に無料で掲載できる。広告枠は賛否平等に割り当てる

 ・放送事業者は国民投票に関する放送について、放送法4条1項の規定に留意する

 ※放送法4条1項 放送事業者は番組の編集に当たって次の各号の定めるところによらなければならない

 (1)公安及び善良な風俗を害しないこと

 (2)政治的に公平であること

 (3)報道は事実をまげないですること

 (4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

     ◇

 〈国民投票法〉 憲法96条が規定する改憲に必要な手続きを定め、第1次安倍政権の2007年に成立した。衆院100人以上、参院50人以上の賛成で発議された改正原案を両院の憲法審査会で審査し、各本会議で総議員の3分の2以上の賛成により改正案を発議。60〜180日以内の国民投票で有効投票の過半数が賛成すれば承認される。自由な意見表明のため規制は最小限で、通常の選挙では禁じられている戸別訪問や署名運動もできる。公務員も一定の条件で投票勧誘や賛否表明が認められている。

 ただ、国民への周知期間は十分か▽最低投票率の設定がない▽一度に複数の改正案を発議できる▽政党だけ無料広告を出せる――といった課題が指摘され、成立時に「施行までに検討」など18の付帯決議がなされた。

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